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講義03.文型パートⅠ(第1文型~第3文型)
講義01では文の中枢となる「動詞」を2つの大きなグループに分けました。
1.自動詞
2.他動詞
これら2つを、動詞の作るフレーズの種類によって、5つグループを細分した。
1.完全自動詞
2.不完全自動詞
そして、
3.完全他動詞
4.不完全他動詞
5.与格動詞
上記の5つのグループのうち、1と2は「自動詞」から、3~5は「他動詞」からなっていることを覚えよう。これらの5つのグループ分けをしたのは、センテンスの中心となる「動詞」を「5つの種類に分けた」からである。それぞれの動詞には性質があって、その性質の違いから異なる形の文、つまり、異なる「文型」が生まれます。
5つの動詞に分けたものから、「5つの文型」が作られます。
これこそが日本で長く親しまれてきた「5文型」です。
“英文の文型が、7文型とか、9文型とかではなく、なぜ5文型になるかというと、英語には動詞の種類が5つしかないからである。したがって英語の学習をするときには、ある動詞を単に動詞としてその意味を覚えるのは不十分で、必ずそれが完全自動詞か不完全自動詞かというように意識して覚えてゆくこと。なぜなら、一つの動詞が完全自動詞か不完全自動詞かによって意味が違ってくるからである”(豊永、2008、p.27)そして、
“わが国で長い間にわたって親しまれている5文型のルーツはOnions(Syntax、§5)だそうであるが、同書の初版は1904年である。英語の文がたった5つの文型で処理できないが、基本的な構文の説明には5文型が便利である”(江川、1991、p.186)といった、異なった文型論があることが分かります。
また、
Quirk、et alは動詞によって、修飾語句である副詞語句と強い結びつきを持っているものがあることから、それらも目的語や補語と同じように、義務的な存在だと主張し、本来の文の構成要素に「義務的副詞語句」(A)を加えて、7文型を紹介している。これに対して、安藤(2008、§2)は、(A)を含んだ構成要素の可能な組み合わせを考え、8文型を提唱している。ここではまず、5文型から考えていくことにします。
なぜなら、皆さんはおそらく全員、この5文型を学校で習ったり、塾で勉強したりしていて、なじみがあると思うからです。
さて、前述した5つの動詞とそれらが作り出す文型を一つずつ見ていくことにしましょう。
まずは下に目を通しておこう。
表1
動詞
|
動詞の種類
|
必要とするもの
|
文型
|
|
自動詞
|
完全自動詞
|
-
|
SV
|
第1文型
|
自動詞
|
不完全自動詞
|
補語(C)
|
SVC
|
第2文型
|
他動詞
|
完全他動詞
|
目的語(O)
|
SVO
|
第3文型
|
他動詞
|
与格動詞
|
目的語(O)+目的語(O)
|
SVOO
|
第4文型
|
他動詞
|
不完全他動詞
|
目的語(O)+補語(C)
|
SVOC
|
第5文型
|
1.第1文型:S+V(S+V+Modifier(M)、S+V+Adverbial(A)を含む)
この第1文型の(V)は完全自動詞が来る。完全自動詞とは、目的語や補語を伴わなくても文としての意味が完結し、伝わる動詞のことを言います。自分だけで意味を伝えられるのです。つまり、動詞の示しているアクションは他のものに影響を及ぼさないのです。このような自動詞のことを「完全自動詞」と呼んでいる。
この文型を作る動詞には、sleep/ bark/ lie/ live/ think/ be/ sit/ pass/ do/ wait/ shine などのような、存在や本人の動作のみで確立するアクションを表す動詞があります。
例:
(1)I(S)slept (VI)(私は寝た)=>
寝るのは本人の動作である。誰かのために眠ることは出来ない。
(2)Dogs (S) bark (VI)(犬は吠える)=>
これも同じ。犬は吠える。それだけで意味は完結です。しかし、
犬が誰かに吠えたときは
(3)The dog (S) barked (VI) at his owner (M)
(犬は飼い主に吠えた)
といえますが、この場合、一見飼い主に影響を及ぼしているかのように見えても、そうではないのです。「at his owner」は場所・方向を表す副詞であり、犬の吠える行為は直接飼い主に影響を及ぼしているのではない。仮に、もし「at his owner」がCだったとしたら、S=Cが成り立たないといけないが、明らかに違います。 それじゃー仮にOだとすると、今度はS≠Oの条件は満たされているが、他動詞は必ず「直接」目的語に影響を及ぼす動作を表している。この例の場合は直接ではなく、「飼い主に向かって」吠えているだけなので、影響を及ぼしている訳ではない。 その証拠どして、前置詞「at」が間に入っています。前置詞が間に入っていることは、他動詞ではないこと、そして、その後に来る部分は目的語ではないことが分かる。
これで終わりだったら簡単。でも、ここで思い出して欲しいのが、動詞の殆どは使い方によって「自動詞」にも「他動詞」にもなれること。これは大事ですよ。先ほどの例でみた場合、barkはその自動詞用法で使われていましたけど、次見る例では、他動詞として用いられています。
(4)My boss (S) barked out(VT) the orders (O)
(ボスは指示命令をどなりちらした=どなっていった)
「the orders」はCではないのはS=Cが成り立たないことから明らかである。そして、目的語であることは、「bark out」(怒鳴る)と言う行為は「直接」、目的語の「orders」に影響を及ぼしていることから分かる。それは、ordersはその怒鳴る行為から発生しているからである。なお、VTとOの間には目的語を間接化する要素は何も存在していない(i.e.前置詞など)。これらのことから、動詞barkを(3)では「自動詞」として、(4)では「他動詞」として使われていることが分かる。
第1文型の動詞にも実は、「場所」「特質」「時間」などを表す副詞的要素との結びつきが強い動詞が多くあります。そんな場合、絶対的に必要とは言えなくても、一般的に「副詞的語句を伴う」のです。例:
(5)The meeting (S) starts (VI) at ten o’clock sharp (M).
(会議は10時きっかりに開始する)
(M)がなくても文としては成り立ちますが、なんか足りない気がします。Startはこの場合「時間」を表す語と強い結びつきがあるからです。その時間の要素を削ってしまうと、やはり違和感がある。だから、副詞的語句である前置詞句「at ten o’clock sharp」を付け加えると、意味も完結し、違和感がなくなるということです。
さらに、第1文型の動詞でも、上記説明した「副詞的語句」を「絶対必要とする」動詞もあるのです。これらの動詞の場合、副詞的語句によって表現される説明を加えないと、意味がどうしても完結せず、「文として成り立たない」のです。Be/ lie/ live/ stand/ stayなどがる。例:
(6)I (S) live (VI) happily (M) in Okinawa (A).
(私は幸せに沖縄で暮らして居る)
Liveは通常(VI)であるが、I liveだけでは文は成り立たない。必ず「どこに」住んでいるのか、「どのように」を表現する要素を必要とするのです。この場合、場所を表す副詞的語句「in Okinawa」を加えて、この問題を解決している。プラス、「状態」を表す副詞「happily」も加えている。同じように、
(7)My sister (S) is (VI) in her room (A).
(妹は彼女(自分)の部屋にいる)
Be動詞は通常、第1、第2文型でも、(VI)である。しかし、例の第1文型のような構文では、(A)となる「副詞的語句」なしでは成り立たないのです。同じように、第2文型では、(C)となる「名詞や形容詞」なしでは成り立たない不思議な動詞なのです。この場合、「in her room」と言った場所を表現している副詞的語句を加えることで「My sister is」と言う不完全な文を完結しています。
他動詞の目的語を省略すると、第1文型になってしまう。
これは、第3文型の他動詞における目的語が自明であるため、それを省いてしまうときに起こる現象。江川(1991、p.185)の例を見ますと、
(8)Can you drive (a car)?「第3文型」 => Can you drive? 「第1文型」
{(車の)運転は出来ますか?}
この例では、最初第3文型だったフレーズ「can you drive a car?」の目的語「a car」を省いたとき、「can you drive?」といった第1文型の文になってしまった。そして動詞「drive」も、その文型の変化と共に、他動詞から「自動詞」に変わった。
これを「他動詞の自動詞化」と呼ぶ。
2.第2文型: S+V+C(S+V+C+M、S+V+C+Aを含む)
この第2文型の(V)には不完全自動詞が来ます。自動詞ではあるが、主語と動詞だけでは意味が不完全であるため、「補語(C)」を要求する動詞です。 主語と補語の間にはイコールの関係が成り立つ(S=C)。 そして、第2文型の場合の補語は「主語」を修飾しているため、「主格補語」と呼ばれます(これに対してSVOC構文の場合の補語は主語ではなく、目的語を修飾しているから目的格補語と呼ばれる)。
この文型を作る動詞には、次のような動詞がある。ここでは宮川(宮川 et al, 1988,§10)の分類を紹介する:
①状態を表す動詞:
beのグループ:be, lie, sit, standなど
keepのグループ:continue, hold, keep, remain, stayなど
②状態の変化を表す動詞:
become, come, get, grow, make, turn, fall, go, run など
③外見を表す動詞:
appear, look, seem など
④知覚動詞:
feel, smell, sound, taste など
例:
(9)She(S) was(VI) nervous(C) this morning(M).
(彼女は今日、なんかいらいらしている)
この例だは、(C)の働きをしているのは形容詞の「nervous」である。動詞はあくまでも自動詞であるけど、She isだけでは意味上・構文上なりたたない。そこで、nervous(C)を加えたことで、文を完結させた。このように(C)がないと文が成り立たない自動詞のことを「不完全自動詞」と呼んでいて、SVO、つまり、第2文型の構文を作る動詞です。
同じように、
(10)I(S) don’t feel(VI) good(C), today(M).
(今日あまり気分がすぐれないよ)
この例では(C)が代名詞の「you」である。
(11)He(S) became(VI) a school teacher(C).
(彼は学校の先生になった)
最後に、この例では、(C)は名詞群の「a school teacher」である。
これらの例に出てくる補語は(9)「形容詞」、(10)「代名詞」、(11)「名詞」と言った、一般的な補語であるが、このほか補語になれるものには「副詞」、「不定詞」、「-ing分詞(現在分詞)」、「動名詞」、さらにこれらが作る「句」や「節」もある。
3.第3文型:S+V+O(S+V+O+M、S+V+O+Aを含む)
この第3文型の(V)には「完全他動詞」が来ます。完全他動詞は目的語(O)を一つ要求する動詞であるが、その他には何も要求しない。 他動詞は英語の文型のなかで多用されていて、このSVOは英語でもっとも基本的で使用頻度の高い文型である。 目的語になるのは「名詞」「代名詞」「名詞相当語句(形容詞・分詞・動名詞・不定詞)」そしてこれらからが作れる「句」と「節」である。これらに加えて宮川(宮川 et al, 1988, §5)は「引用語句」も含めている。 西語文法の多くではこのSVOがもっとも一般的な形であるのに対して、日本語の基本文型はSOVである。
この文を作る動詞には、lay/ want/ stop/ help/ invite/ surprise/ decide/ learn/ explain/ introduce/ provide/ admit/ などがある。例:
(12)Sue(S) invited(VT) her friends(O) to the party(M).
(スーは友人たちをパーティーに招待した)
この例では他動詞「invite」の目的語となっているのが、代名詞句「her friends」である。ここではinviteとher friendsの間には直接的な関係があることに気づくこと。
「直接的」というと、動作の対象に「向けている」アクションではなく、動作の対象に「直接働きかけている」アクションである、というこのになる。だから、自動詞の「look for」では、(見ている)対象に直接影響を及ぼしているように思えても、実際は対象に「目を向けて、意識して見ている」という意味となる。この動詞はその人が見ている対象とは直接てきな関わりを持たないのです。逆に、他動詞の「see」は、一見「ただ見ている」という動作に思えるがちだが、実際は見ている目と目に入ってくる対象の繋がりがあって初めて「見える」ことが出きると考えれば、皆さんも納得するはずです。
この第3文型で要求される目的語には、「不定詞」及び「動名詞」が使われることがある。ここで注意して欲しいことがあります。ひとつ目は、他動詞の後に目的語として「不定詞がくるのか」「動名詞がくるのか」は、その他動詞によって違うということです。この場合は、残念ながら、一つずつ覚えていくしかないのですね。これも、途方にくれるような作業に思えるが、実際英文の読書を続けて、勉強もそれなりに続ければ、いつの間にか大体分かってくるようになる。だから皆、がんばろうね。
(13)They(S) want(VT) to learn(O) very badly(M). English
(彼らはとても英語を覚えたい)
この例をみると、「to learn English」の部分が目的語として使われている。この部分のなかの「to learn」はto不定詞で、toとlearnがセットになって「一つの語」として機能しているのですが、他動詞「want」のすぐ後に「to」がくるのをみて、この「to」を「前置詞」として考えてしまうというオチが非常に多くみられるようです。
ここで覚えておくことは、①
(14)To learn English(S) is(VI) easy(C).
(英語を覚えるのは簡単だよ)
第2文型ですね。ここでも「To learn English」が出てきましたね。
ちょっと待てよ。「To learn English」が主語になっている!でも、主語になれるのは、名詞とか代名詞とかじゃなかったの?
っていうことは、「To learn English」は名詞?!
そうです。この文の中でも「To learn English」の機能は(13)と一緒です。名詞相当です。別の言い方をすると、不定詞の名詞的用法であり、名詞相当語句とも呼ぶことが出来ます。これは他動詞の目的語としてよく使われます。
ようするに、この例から不定詞(動名詞も)は動詞だけではなく、名詞や形容詞の働きもすることばであることがわかります。そのため「準動詞」と呼ばれるのです。間違いないよに、もう一度まとめておきます:
「to learn」= To+動詞の原型 = 動詞
「to learn」= 不定詞 = 動詞的、名詞的、形容詞的、副詞的
「learning」= 現在分詞 = 動詞、形容詞的
「learning」= 動名詞 = 動詞的、名詞的
があります。後にもっと詳しく見ていきますので、今はここまで。
なので、他動詞の後ろに「to」があっても、惑わされずに、不定詞のことを思い出しましょう。次はもうひとつの準動詞、「動名詞」が目的語として用いられたケースをみてみよう。
(15)She(S) admitted(VT) having accepted payments(O) from(preposition) the Ambassador(object of the preposition).
(彼女は大使からおかねを受け取ったことを認めた)
他動詞の「Admit」は目的語として動名詞しか取らない動詞であることを思い出そう。つまり、admitの後にくる目的語にはto不定詞は使われないということですね。この場合、使役動詞Haveの動名詞的用法によって、名詞の役割を担っている。だから「having accepted payments」のような句が他動詞admitの目的語となることが可能である。
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